「ご指摘」の意味や類語を例文で解説!正しいビジネス敬語の使い方とは?

「ご指摘」という言葉、メールなど様々なビジネスシーンで見かけます。実際に使われている方も多いことでしょう。

この記事では「ご指摘」の正しい使い方や間違った使い方、「ご忠告」のような類語との違いや使い分けについて、例文を交えながら解説しています。

目次

「ご指摘」の意味とは?

「ご指摘」はビジネスシーンで多く目にする言葉です。「ご指摘」を分解すると「指摘」という言葉に、丁寧な表現である接頭語の「ご」をつけた言葉であると解釈できます。

「指摘」は、「全体の中から、ある特定の事柄を取り上げて示すこと」になります。それをより丁寧な言葉にしたのが「ご指摘」です。

ビジネスシーンにおいて、「ご指摘」は何かを教えてもらう時と苦言や改善要求をうけるときの2通りで使われています。

「ご指摘」の正しい使い方は?間違った使い方も解説!

「ご指摘」はビジネスシーンにおいて、メールや会議、電話など様々な場面で用いられる言葉です。しかし、間違った使い方をしやすい言葉であるとも言われています。

この章では、「ご指摘」の正しい使い方と間違った使い方について、ポイントや注意点の例を交えて解説していきます。

「ご指摘」の正しい使い方

前述の通り、「ご指摘」は「何かを教わるとき」と「苦情を言われたとき」や「改善要求をされたとき」の2通りの使われ方があります。

なにかを教わりたいときは「ご指摘ください」、苦情に答えるときには「ご指摘の通り、〇〇に誤りがありました」のように用いるのが正しい使い方です。

また、相手は自分に対して時間をつかって「指摘」して下さっています。「ご指摘」を用いるときには、「指摘」されたことを真摯に受け止め、前後の文章も合わせて可能な限り丁寧な文章にすることが、ビジネスにおいて大切になります。

「ご指摘」の間違った使い方

「ご指摘」は目上の人に対して使う言葉です。そのため、部下や同僚、友人などに「ご指摘」という言葉を使うのは間違いです。「指摘された〇〇の件だけど~」のような表現を使いましょう。

また、二重敬語にも注意が必要です。これは敬語全体でよくある間違いですが、「ご指摘」も間違えやすい言葉です。

「ご指摘なさられる」は「ご指摘なさる」という尊敬語と「~られる」という敬語表現が合わさっており、二重敬語となるため間違いです。「ご指摘なさる」や「ご指摘される」が正しい使い方となります。

「ご指摘」の例文

ここまで、「ご指摘」の意味や正しい使い方や間違いについて触れてきました。それでは、実際に「ご指摘」はどのように使われているのでしょうか?

前述の通り、「ご指摘」は前後の文章にも気をつける必要があります。また、伝える相手によっても前後の文を含めた「ご指摘」の使い方によって、相手に与える印象が変わります。

この章では、メールなどのビジネスシーンにおいて今日から使える「ご指摘」の例文を、場面別と相手別に分けて紹介していきます。

「ご指摘」の例文:場面別

まず、「教わる」場面と「苦情や要望」をうけた場面の2つに分けて、「ご指摘」の例文を紹介していきます。

「教わる」場面

「教わる」場面での「ご指摘」を使った例文を以下に紹介します。相手に「教わる」わけですから、前後の文も含め、丁寧な言葉遣いを意識しましょう。

例文①「〇〇についてご指摘お願いします。」

あることがらについて、相手に指摘をお願いする例文です。自分が行った仕事について自信を持てない箇所がある場合に「ご指摘」を用いてチェックや指導を仰ぐことができます。

指摘をもらいたい事柄が不明確だと、相手は何に対して指摘したらよいかわからず、困らせてしまうため、自分に対する心象を悪くすることにつながります。指摘してもらいたい部分について、明確に記述するようにしましょう。

例文②「なにか気になる点がございましたら、ご指摘いただけると幸いです。」

「ご指摘いただけると幸いです」は「ご指摘ください」よりも、柔らかく非断定的な印象を与える例文です。

また、「なにか気になる点がございましたら」をつけることで、「全体を通して気になる点があれば指摘してください」という意味合いとなります。そうすることで、断定的な意味合いになることをより避けることができます。

メールなど文章の最後に用いることで、相手に気になる点があった場合に意見をもらいやすくなるため、定型文的に用いられることも多いです。

「苦情や改善要求」をうけた場面

「ご指摘」は、目上の人からの苦情や改善要求を受けた時にも用いられます。どちらの場面でも、相手に対して感謝、もしくは謝罪の意を示すことが必要になるため、より丁寧な文章が求められます。

苦情に対する返答の際は、そのときの対応が今後の取引継続に直接的に影響してきます。特に、メールや電話など相手が見えない状況のときには、言葉遣いに細心の注意を払う必要があります。以下の例文を参考に、相手への誠意が伝わるような文章作成を心がけましょう。

例文①「〇〇の件について、ご指摘ありがとうございます。」

相手から指摘を受けた際の例文です。改善点など、指摘やクレームを受けた際には、まず指摘してもらったことに対して感謝を述べるのがビジネスマナーです。

「ご指摘」のあとに「ありがとうございます」と感謝の意を述べましょう。また、指摘してもらったことを明確にすることも大切です。

例文②「〇〇の件に関しましてはご指摘の通りです。」

相手から指摘を受けた際、その指摘に対して賛同する場合に使う例文です。指摘に対して賛同しないときにこの文章を使うのは間違いです。

こちら側のミスに対する苦情の場合は、この後に「申し訳ございません」など、謝罪の意を伝えることも必要になってきます。

また指摘を受けた場合は、それに対してどのような対応、対策をとるかを求められていることが多いです。そのため「ご指摘の通りです」の後には、対応策について具体的に述べるようにしましょう。

「ご指摘」の例文:相手別

「ご指摘」を使う際には、指摘を受ける、もしくは受けた相手によって前後の文脈を変える必要があります。ここでは、「なにかを教わりたい」もしくは「教わった」取引先と「苦情をうけた」取引先における例文を紹介していきます。

指摘によってなにか「教わりたい」と思う取引先の場合

例文「〇〇に関しましてご指摘くださりますよう、よろしくお願い致します。」

「ご指摘お願いします」をさらに丁寧な表現にした例文です。「くださる」や「よろしく」、「致します」を付けることでより丁寧な印象を与えることができます。

クライアントにより良い印象を持ってもらうことは、その後の円滑な商談に直結します。そのような相手に対しては、こちらを使うと良いでしょう。

相手の指摘が「教え」であった取引先の場合

例「〇〇の件について、ご指摘いただきありがとうございます。早急に〇〇の変更を検討させていただきます。」

「ご指摘ありがとうございます」をより丁寧にした例文です。「教えていただいた」ということに関する感謝を示すために、できるだけ丁寧な文章にすることを心がけましょう。

また、指摘していただいた事柄に対して、どのような対応をとるかを述べることも重要です。そうすることで、「指摘してよかったな」と相手に思ってもらえると共に、その後の取り引きでも有意義な意見をもらいやすくなります。

相手の指摘が「苦情」であった取引先の場合

例文「〇〇の件に関しましては、ご指摘いただいた通り、間違いがございました。大変申し訳ございません。修正したものを添付させて頂きます。」

苦情に対しての誠意を示すため、「ご指摘の通り」をより丁寧で謙った文章にした例文です。ビジネスシーンにおいて、こちら側のミスに対する苦情の場合は、その後に「申し訳ございません」など、謝罪の意を伝えることも必要になってきます。

また「教え」をもらったときと同様に、「苦情」に対してどのような対応をとるか、明確に述べるようにしましょう。

「ご指摘」の類語

ここまで、例文を交えて「ご指摘」の正しい使い方について紹介してきました。「ご指摘」はビジネスシーンで多く見られる言葉ですが、似たような言葉、いわゆる「類語」が多くあるワードでもあります。

1つのメールや書類の中で、同じワードを何回も使うことはできるだけ避けるのが一般的です。そのためメールなどの文章中では、「ご指摘」と「類語」とを上手に使い分ける必要があります。この章では、場面別に「ご指摘」に関する「類語」を紹介します。

また、各類語は使い分ける必要があります。この章でも、使い分け方について簡単に述べていますが、この後の章で、いくつか類語をピックアップして詳細に説明します。

「ご指摘」の類語:教わるとき

何かを教わる際に用いる「ご指摘」の類語としては、「ご指導」や「ご教示」、「ご鞭撻」、「ご指南」、「アドバイス」などがあげられます。これらの言葉はそれぞれが類語となっています。

各類語は意味合いが似ているようで異なっています。そのため、案件に関する目的や方向性について教わったときには「ご指導」や「ご指南」、知識や技術に関して教わった場合は「ご教示」など使い分ける必要があります。

また「アドバイス」は外来語であり敬語にすることは難しいです。そのため、社外の人や自分より何階級も位が高い役職者などに対して使うのは間違いです。直属の上司や年齢が近い先輩など、使うことができる場所は限られています。

「ご指摘」の類語:苦情や改善要求をうけたとき

苦情や改善要求を受けた際の「ご指摘」の類語としては、「ご忠告」や「ご要望」、「ご質問」、「クレーム」などがあげられます。これらの言葉もまた、それぞれが類語となっています。

これらの類語もそれぞれで異なった意味合いを持っています。相手から受けた指摘が忠告なのか、要望なのか、それとも質問なのか、見極めたうえで使い分けることが必要です。

「クレーム」は「アドバイス」同様に、使用できる場所は限られています。特に、顧客からの意見を「クレーム」とするのは意味合い的にも間違いですし、苦情の場合でも「クレーム」という言葉を使うことは相手の心象を悪くしてしまうので注意しましょう。

「ご指摘」と「ご教示」の違いと使い分け

ビジネスにおいて、1つのメールや書類の中で同一の単語をなんども用いることは好ましくありません。そのため類語を使い分ける必要があります。

この章では「ご指導」とその類語である「ご教示」の違いや使い分けについて解説していきます。

「ご指摘」と「ご教示」の違い

「ご指摘」は前述の通り、「全体の中から、ある特定の事柄を取り上げて示すこと」という意味を持っています。一方、「ご教示」は「ごきょうじ」もしくは「ごきょうし」と読み、「知識や方法を教え示す」という意味の言葉です。

「ご教示」は知識や方法を教わるといった意味合い強いのに対し、「ご指摘」は他の意味合いも含んでいます。しかし、どちらも「教え」に関する言葉であることに変わりありません。

「ご指摘」と「ご教示」の使い分け

上述の通り、「ご指摘」と「ご教示」に大きな違いはありません。従って、メールや書類など、ひとつの文章で何度も「ご指摘」を用いることを避けるために、文章の中に両者をうまくちりばめましょう。

また、「ご指摘」は様々な意味合いを含んでいます。より端的に「教え」に対する事を述べたい場合には、「教え」の意味合いが強い「ご教示」を使うとよいでしょう。

「ご指摘」と「ご忠告」の違いと使い分け

「ご指摘」の類語である「ご忠告」、みなさんはどのような印象をもっていますか?また、「ご指摘」と「ご忠告」には明確な違いがあることを知っていますか?

「ご忠告」は使い方の間違いが多い言葉です。この章では、「ご指摘」と「ご忠告」の違いと使い分けについて、解説していきます。

「ご指摘」と「ご忠告」の違い

「ご忠告」は「忠告」の丁寧語で、「相手の欠点やミスを指摘する」という意味合いを持っています。「ご指摘」も「相手のミスを取り上げる」という意味合いを含んでいますので、「ご忠告」と「ご指摘」は類語であると言えます。

しかし、前述の通り「ご指摘」と「ご忠告」には明確な違いがあります。それはミスが起こる「前」か「後」かという点です。

「ご指摘」はミスが発生する前後どちらにおいても使われるのに対し、「ご忠告」はミスが起こる「前」にしか用いることができません。従って、ミスをしてしまった後に「ご忠告」を使うのは間違いとなります。

「ご指摘」と「ご忠告」の使い分け

前述の通り、「ご忠告」はミスが発生する「前」にのみ用いることができます。従って、ミスを未然に防ぐような指摘を受けた場合にのみ、「ご忠告ありがとうございます」といった使い方ができます。

一方、「ご指摘」はミスが発生する前後どちらにおいても使えます。ミスが発生した「後」には、「ご忠告ありがとうございます」は間違いとなり、「ご指摘ありがとうございます」が正しい文となります。

「ご指摘」をビジネスやメールで使うコツ

「ご指摘」を使うときには、「教わる」場面なのか、「苦情や要望をうけた」場面なのか、状況をしっかりと整理することが、上手に「ご指摘」を使うコツです。

どちらの場面かをしっかりと理解した上で、「ご指摘」を使う場所と、その前後の文脈を考えましょう。感謝を述べるにしろ、謝罪するにしろ、どちらにおいても可能な限り丁寧な文章とするのが大切です。

特にメールは文章のみで相手が判断せざるを得ないため、細心の注意を払って文章を考える必要があります。

また「技術に関する教え」や「ミスとなりそうな部分の指摘」など、明確に提示したい場面では「ご教示」や「ご忠告」などの類語にするなど、「ご指摘」と類語をうまく使い分けましょう。

「ご指摘」を正しく使いビジネスシーンを円滑に

「ご指摘」は沢山の意味合いを持っているため、メールや会議を問わず、ビジネスシーンの様々な場面で使用することができます。しかし、意味合いを多く持つ分、類語も多く間違えやすい単語と言えます。

「ご指摘」に限らず、敬語の間違いは相手の心象をとても悪くし、円滑な取り引きの阻害因子となります。この記事を参考に、「ご指摘」を正しく使い、クライアントとのより良い関係性を築いていきましょう。

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